人生の隠しパラメータにいかに気付けるか
人生の要素には、細かい隠しパラメータが多い。そこに気付くのには、かなりの観察眼を必要とし、更にそのパラメータを調整しようとするにはかなりのエネルギーが必要となる。
具体例として,英語の勉強を例にとってみよう。すなわち,英語を上達させるためにどうすればいいのか?という問題に隠されたパラメータをいかに読み取ることが出来るか,である。
英語を上達させるために英単語や英文法の習得は不可欠であるのは間違いない。問題はここから更に隠されたパラメータを掘り起こすことが出来るかどうかだ。
英単語にしろ英文法にしろ、脳みそに記憶させるという点では同じであるから、その根底には【記憶力】というパラメータが大きく絡んでいることになる。
だから、【記憶力】というパラメータに気付くことができ、そのパラメータから調節し始めることが出来れば、そうでない人よりもかなり優位に学習が進められる。具体的には,英単語を効率的に覚えられるような記憶の方法を探ることだったり,根本となる記憶のメカニズムについて知る,ということだったりする。
さらに観察眼を持って注意深く見ると,そういった記憶力を改善するための勉強,英単語を覚える勉強をするために根本的に必要になる【モチベーション】というパラメータが浮かび上がってくる。
ここでも,【モチベーション】というパラメータに気づき,あらかじめ【モチベーション】というパラメータをチューニングすることで,その上にある行動,ここでいう記憶力を向上させる,英単語を覚えるなどといった行動全てに変化がおこる。より具体的に言えば,モチベーションとはなんなのか,モチベーションを維持させるためにはどうすればよいのかという問題そのものに焦点を当てて情報を集め,考えるという営みだ。
さらにさらに注意深く見てみると,【モチベーション】というパラメータには【健康】というパラメータが大きく関わっていることに気づくかも知れないし,【自分の興味・性格】というパラメータが関わっていることにも気づくかも知れない。
健康でなければ,当然勉強なんてできるはずもないし,自分の本当にやりたいこと・興味と結びついていなければ,モチベーションを獲得するのは難しい。どれも本当に基本的で当たり前なことだが,だからこそ一番重要なことだ。
「うん、いろいろな要素がほじくり返せたのは分かったが、それが何なんだよ?何が言いたいんだ?」
ここで自分が言いたいことは、パラメータが基本的であればあるほど、パラメータの値の少しの違いがその人の行動、思想、人生に非常に大きな影響を及ぼすということだ。
これは、木の根や幹の太さに例えると分かりやすい。
(ここでいう、幹や根は隠しパラメータのことで、枝や葉は具体的な英語学習のこと)
つまり丈夫な根っこと、太い幹を持った(隠しパラメータをしっかり育てた)木は、その上に大量の太い枝と立派な葉っぱ(具体的なスキル・知識)を付けることが出来る。
逆に、根っこも短く、幹も細い(隠しパラメータに気づいていない,育てられていない)木では、細い幹から細い枝しか伸ばせず、葉っぱ(具体的なスキル・知識)も十分に茂らせることが出来ない。
つまり、隠しパラメータの値が低ければ、伸ばせる枝や葉っぱの質が劣るだけでなく、量も完全に負けることになる。
どちらが多くの枝や葉っぱをつけられるか?となったら、それは根っこや幹が太い方に決まっている。
葉や枝の根元でどうあがいても、自分より太い幹を持っている人に敵うわけがないのだ。
結局、人生における知識の習得、学習、経験といった全ての活動で、隠しパラメータの値が低い人が、隠しパラメータの値が非常に高い人に勝つことは不可能であり、その差はどんどん開く一方になってしまう。
世の中に,信じられないほど多くのことを成し遂げる人がいるのは,こういうわけなのである。
ちなみに,武井壮さんのスポーツ理論はまさにこのことである。幹の太さが【自分の体を思った通りに動かす能力】,枝や葉っぱが【各スポーツのスキル】に相当する。
「武井壮 スポーツ理論」で検索するといろいろ出てくる。
また,このような考え方を扱った本には,抽象的なところでは「知的複眼思考法」。やや実践的な部分では「エンジニアの知的生産術」といった本がある。
知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)
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