経済と歴史を絡めて、過去から学び現在に繋げる 池上彰の経済学講義1 歴史編 戦後70年世界経済の歩み 【読書メモ】
池上彰の「経済学」講義1 歴史編 戦後70年 世界経済の歩み (角川文庫)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/03/25
- メディア: 文庫
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プロローグ 経済学を学ぶという事
Lecture1 経済、そして経済学とはそもそも何か
Lecture2 廃墟から立ち上がった日本
Lecture3 東西冷戦の中の日本
Column 東西冷戦終結の象徴 ベルリンの壁はどうして崩壊したのか
Lecture4 日本はなぜ高度経済成長を実現できたのか
Lecture5 高度経済成長の歪み ー公害問題が噴出した
Lecture6 バブルが生まれ、はじけた
Lecture7 社会主義の失敗と教訓 ーソ連、東欧、北朝鮮
Lecture8 中国の失敗と発展
この本は、池上彰氏が2014年春から愛知学院大学で行なった経済学の全15回の特別講義の内容を2冊に分けて収録したものだ。
学部の文系教養科目で経済学を受講しており、せっかくなのでその美味しさを知ろうと思って読んでみた。ゴリゴリの専門書ではなくて、現実の状況も含めた経済というものを知るために最適な1冊ではないかと思う。
内容は、経済学の用語などを解説するのではなく、第二次世界大戦からの日本の発展、世界の発展をテーマに、それぞれの歴史を経済学的な側面から見ていくというものだ。非常に面白い、というより自分は知らないことが多すぎるなあということを新たに痛感した1冊であった。現在の社会情勢は毎日のようにテレビやインターネットで把握することができるが、その流れが一体どこからきているのか、昔はどうだったのか、なぜそのような出来事が起きているのかについて自分が体系的な知識をほとんど持っていなかったことに気付かされた。中国やロシア、北朝鮮など今世界を騒がせている国々が、ほんのつい最近まで(30〜40年前)、現在では信じられないような状況であったこと。その流れは今も世界各地で続いていること。そのような流れが今の経済、国民の価値観、その他あらゆることに繋がっていること。これからを生きて行く上で、過去の歴史を学ぶ重要性に改めて気付かされた。
そんな反省から、日本史や世界史も学び返そうと思って日本史の本を読んでみたりしているが、同時に経済学も絡めて学ぶことでその理解が一層深められるということを感じた。あらためて、あらゆる分野はつながっているんだなあということを実感する。そして、過去の中国や北朝鮮、ソ連などの歴史を知り、学ぶということは個人的な意味でも社会的な意味でも、非常に重要なことであると強く再認識することができた。2冊目も読んでいきたい。
同時に、過去を知らずに未来について唱えるのはとても愚かなことだと思った。工学部に身を置き、未来の様々な技術に触れていきたいと考えている自分にとっても、世界最先端の技術の上澄みだけをさらうのではなく、しっかりとその根本から、技術の生まれた背景、歴史などをしっかりと学ぶことが重要であると感じた。基礎の重要さはいつでもどこの分野でも言われていることであるが、それがどのくらい大切なことなのかということを認識できている人は少ないように思う。戦後日本が発展を遂げたのはあらゆる面で基礎の重要性を認識し、固めてきたからだということをしっかりと認識して、自分自身の生活にも生かしていきたい。